現物不動産投資よりREITを選ぶ理由

投資の考え方

資産運用の代表的手段の一つである不動産投資。会社員であれば、不動産投資に勧誘された経験のある方も多いと思います。詐欺まがいの勧誘が多いながらも、実際に不動産投資で収益を上げている個人も多いため、不動産投資にチャレンジしてみようと検討している人もいるのではないでしょうか。

一方で不動産投資と言うと、現物のマンションやアパートを購入し家賃収入を得る方法だけではなく、REITと呼ばれる不動産投資信託を通じて実質的に不動産投資を行う方法も存在します。

それぞれにメリット・デメリットがあり甲乙つけがたい投資方法ではありますが、私の場合はREITの方が自身の投資方針に適していると判断しています。その判断の理由についてご紹介したいと思います。

※ちなみに、REITは金融商品取引法でインサイダー取引の対象となっているため、私自身は勤務先の都合上、実際には投資できていません…(現物の不動産投資ならOKです…)

実物不動産投資とREITの違い

まずはじめに、現物の不動産投資とREITについて、代表的な項目を表形式で比較してみたいと思います。両者は似て非なるもので、それぞれの項目において全く異なる特徴を有しています。その中でも個人投資家にとって特に影響のある項目として、投資単位、レバレッジ、利回りと収益の安定性の観点から少し詳しく見ていきます。

比較項目実物不動産投資    REIT     
投資対象マンションやアパート等ビルや倉庫
投資単位物件単位
(最低数百万円から)
金額単位
(最低数千円から)
レバレッジ(ローン)可能基本的に不可
経費計上可能不可
手数料、経費売買手数料、固定資産税、
修繕費、管理費等
REIT購入手数料、
信託報酬
利益に対する課税不動産所得(総合課税)
or 事業所得(法人課税)
源泉分離課税
利回り物件により大きく異なる
(努力次第で大きく変化)
3〜5%程度
収益の安定性
(不確実性)
空室等あらゆるリスクが
あり安定性は低い
対象物件が多く分散
されているため安定性は高い
出口物件売却 or 取り壊しREIT売却
実物不動産投資とREITの比較

投資単位

現物の不動産投資の場合、投資対象はマンション(一室 or 一棟)やアパート等、いずれにおいても実在する不動産に対して投資を行うことになりますので、必然的に投資に必要な金額が大きくなります。

個人投資家が投資するレベルでは基本的には数千万円、築古の安いアパートや1R等の区分マンションでも、最低数百万円は必要です。資金的に余裕があり経験豊富な投資家であれば良いですが、資金的にそこまで余裕の無い人や投資初心者にとっては投資の規模が大きく、相当リスクが高いと言えます。

一方REITの場合は投資信託の形式であるため、最低投資単位は数千円から数万円といったものが一般的です。そのため、その投資家の懐事情や経験値に応じてREITは小さく始めることが可能です。

レバレッジ(ローン)

現物不動産投資の最大のメリットと言っても過言ではないのが、ローンによるレバレッジを活用できることです。投資対象の不動産を担保に事業としてローンを組むことが一般的には可能で、それにより資産形成スピードを格段に早めることが可能になります。手元の投資資金が限られてしまう個人投資家にとっては、ローンを活用することにより手元資金の何倍もの投資を行うことができます。

例えば自己資金が100万円しかない人が900万円のローンを組むことで、合計した投資資金は1,000万円になります。そこから利回り7%とすれば70万円/年が収益として得られる計算になります。その他費用等の計算を一切省きますが、単純に100万円の自己資金によって70万円/年が得られます。本来の物件の利回りは7%でありながらも、レバレッジを活用することにより、70%まで利回りを高められる計算です(実際こんなに単純ではないですが)。

またローンの返済金利は費用計上ができますので、不動産投資から生まれた収益と相殺することで、課税対象の利益を小さくすることが可能です。

当然ローンを組むことで、その不動産投資が収益を生める場合には資産形成のスピードを加速させるものの、一方で逆に収益を生めない場合には大きな損失を発生させることになります。この特性をどう捉えるかが、現物不動産投資にチャレンジするか否かの判断要素となるかと思います。

対するREITでは、個人投資家自体が事業を行うわけではありませんのでローンを活用することはできず、基本的にはレバレッジ効果は得られません。ですのであくまでも自己資金の範囲で投資を行い、そこから得られる収益や損失も投じた資金に応じたものになります。

利回りと収益の安定性

現物の不動産投資の利回りは物件に応じて全く異なりますが、表面利回りで8〜10%程度が大まかな目安となります。しかしそこから管理費や修繕費等の諸経費を差し引く必要がありますので、実質利回りは表面利回りよりもかなり下がることになります。そしてローンを活用した場合には実質利回りからさらにローンの金利も引いて利回りを考慮しなければなりません。そのため表面利回りとして提示されている魅力的な利回りが実現することはまずあり得なく、最終的にいくらの利回りが得られるかを適切に算出する能力が求められます。

一方でREITの場合は単純で、一般的な利回りは3〜5%程度となり、その利益から源泉分離課税として20%が差し引かれるのみです。例えば利回り4.0%の場合、投資資金100万円であれば4万円の利益が得られ、4万円の20%の8,000円を差し引いた32,000円が最終的な利益で、利回りで言うと3.2%となります。

利回りについては現物不動産投資とREITでどちらが高いかは一概に言えず、物件によりますが、REITの場合はある程度利回りの予測を立てることが可能です。

REITを選好する理由

では現物不動産投資とREITそれぞれの特徴をふまえた上で、私がREITを選好する理由について述べたいと思います。

不確実性が高すぎる

先に述べたとおり、現物不動産投資には様々なリスクが存在します。空室、修繕、近隣トラブル、災害、近隣施設の移転等、挙げればキリがありません。特に空室や修繕リスクについては、かなりの確率で発生することが予想されます。

もし不動産投資を事業として大規模に展開していればリスクを分散することも可能ですが、個人投資家が副業でせいぜい数件に投資するようなケースでは、それらのリスクが発生した場合に大きな損失を生みかねません。

また現物であれば基本的には向こう数十年に渡って投資を継続していくことになりますが、そのエリアの需要自体が減退していく可能性も十分にあります。不動産ですので動かすことはできず、将来何かしらの変動要素があった場合に臨機応変に対応することができません。

現物不動産投資はあまりにも予想不可能な要素が多く、投入した金額も大きいことからトラブルが発生した際のインパクトも非常に大きいです。たとえREITよりも多少高い利回りを上げられるとしても、資産形成という目的を主眼においている私にとっては、将来計画が立てづらく投資対象として魅力を感じられません。

対するREITの場合、投資を小さく始められること、利回りがある程度予想がつくこと、投資が見合わないと判断した場合に迅速に撤退できること、などの利点が挙げられます。その点着実に将来に向けて資産形成を進めていきたい私にとっては、REITの方が遥かに適していると考えています。

もし巨額の財産を築きたい、不動産投資を事業として楽しみたい、等の理由があるとすれば、現物の不動産投資の方が実現可能性が高く面白みがあるのかもしれません。

労力をかけないと利回りを上げられない

現物不動産投資の利回りについては先にご紹介しましたが、労力をかけることによって多少はコントロールすることが可能です。

まず物件購入においては、ポータルサイトにより随時情報収集を行う、営業マンと人脈をつくる、等の取り組みよって良い物件に出会える確率を上げることができます。

また空室リスクに対しては、物件の設備を充実させる、自らマーケティングを行う、等により多少は空室の確率を下げることができ家賃を上げることも可能です。

修繕やリフォームについては、DIYで対応できるところは自ら行う、知り合いに頼み安価に対応してもらう、などの取り組みも考えられます。

これらの取り組みにより、現物不動産投資におけるコストを下げることができ、家賃は上げられる可能性がありますので、結果として利回りの向上につながります。

ただ逆に言うと、これらの労力を投じなければ利回りを上げるのは難しく、それらを外注すれば運営は楽ですが当然コストは発生しますので利回りは減少します。

自前で労力をかけて取り組む熱意やスキルがあり、かつ投資対象物件の規模が対応可能な範囲であれば、大きな効果を得られます。しかし大半の個人投資家はそれらに該当せず、基本的にはオペレーションの大部分を外注してお任せ状態になってしまうかと思います。その場合はどうしても高い利回りは見込めません。

一方でREITの場合、信託を低い価格で買う以外には自らの労力で投資利回りを上げることはできません。ただしプロが厳選した物件に対して投資が行われ、プロにより管理運営が行われますので、先に述べたように一定の利回りは確実に見込むことができます。

またREITであれば個人投資家は全く労力を投じることがありませんので、たとえ投資規模が徐々に増えていったとしても一切労力をかけずに投資が行えます。この点現物投資の場合は物件が増えるごとに管理労力がどうしても増えてしまう(もしくは外注コストが増える)ため、REITの相対的な利点と言えます。

レバレッジをかけられる点は非常に魅力的だが…

ここまで述べてきたように、現物の不動産投資は不確実性が高く、投資および投資後の管理運営にも労力を投じる必要があります(外注もできるが利回りが下がる)。将来に向けた確実な資産形成という目的であれば、REITに軍配が上がると私は考えています。

現物不動産投資にはレバレッジをかけられるという利点があり、資産形成を加速させられる可能性がある点は魅力的ではあるものの、うまく機能しない確率も高く、確実性は見込めません。

もし現物不動産投資を行う熱意と財産を築くことを目的としていたのであれば、REITではなく現物不動産投資を選好していたかもしれませんが、市場から退場せず着実に資産形成を進めていくことを私は信条としていますので、REITの方が適していると考えます

さいごに

私が現物不動産投資よりもREITを選好している理由についてご紹介しました。この記事の中でご紹介した通り、私の資産形成の目的やスタイルに適しているからこそREITを選好しているのであり、決してREITが優れているから選好しているというわけではありません。

実際個人投資家でも現物不動産投資によって資産を形成している人は大勢いますし(その裏で失敗している人もいますが)、自ら事業に関わることで得られる学びもとてつもなく価値があると思います。

皆さんもそれぞれの投資の特徴を理解した上で、ご自身の目的やスタイルにあった投資を選んでいただければと思います。

それではまた!

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